労働


『さんすけ貸してくれいっ!!』
何でも言葉を略せばいいってもんじゃありません。
三角スケールの事ですが、購入しようと某巨大書店に行ってみたのだけど
案外高いので止めました。帰宅後『もしや!』と思い古い荷物を漁ると
30サイズのがあったのでこりゃ良かったと思ったら縁に感じで
『堅物』と書かれてあった。知らない人はそりゃ堅いだろ〜と思うでしょうが
これは人の名でして、要するに僕は以前の会社の上司のさんすけを記念に
拝借して退職してきたわけです。思えばあの方は良い上司でした。
役員として考えると今までで一番良い上司だったと思います。
上に立つ人と云うのは皆と同じ事をしてたり考えてるのでは出世するはずも
ないので実力であったり性格であったりがやはり人とは違うと思われる。
そしてやはり才能があたり実力があるのだ。
ところが建設現場に行きますと現場の長は必ずしもそうではなく、現場をまとめる
頂点にいるにも関わらず人と話すのが大の苦手だったり人を遣うことがまったく
できなかったりする方も多い。ある意味一国を任され、その現場の収支も考え
小さな会社さながらなのである。仕入れて、予算を組んで労務管理して等など
オールラウンドに業務を遂行する必要があるのだが云わば職人さん気質の方に
それを求めるのは相当に厳しいのではないかと思われる。
朝から晩まで現場で作業し、夕刻より会社の内部処理を行う。ところがその内部
処理なんてちんぷんかんぷんな気質満開の長は終始無言で深夜まで良く理解
しないまま処理を行い、明日になり冷静に書類をみるとやっぱりちんぷんかんぷん
にまとまってるので
『ここのこれとこれをこうやってしてくれ』と職人気質の無愛想な長は言うの
だが伝え方も無愛想なうえ話が苦手なのもあり、さらには現場の追い込まれが
便乗し苛々がつのり、半ば家出状態で現場に行き、夕刻戻ってくるもその書類の
仕上がりが思ったものではなく『なんでこんなのもできないんだ!』と捲くし立て
上司と部下の関係は右肩上がりに悪化していくのである。
そういった様を目の当たりにしておりますと、分断化の必要性と適材適所という事
そして適正ってことや更にはコミュニケーションの重要性をまたまた痛感する
次第であります。
『昨日も12時までやってやってたよ』と眠そうに云う上司に僕は労いの気持ちは
持たない。
突発的な事であれば『大変でしたね!』と声もかけようが、決まって毎日なので
ある。
多くの場合、遅くまでやることが努力であったり成果に繋がるとは思えない。
だってその人を見たらわかるもん。無駄な時間が多すぎるんだ。
云うほど忙しくないのは大体解っている。もしくは忙しいなら今そんな事をしてる
場合じゃないのは自分が一番解っているはずなんだから。
そして99%帰らせないオーラを放つ。それが蔓延している会社が僕は不憫で
ならない。
でもきっとそれは自分でも良くわかってると思う。
そこにあるのは本当は怠惰や惰性や見栄やそんな気持ち良くない感覚なんだ。
だからきっと辛いだろうし寂しいだろうなって俺は思う。理解も得られないし。
でも努力ではない。
本当に忙しくて深夜に及ぶ仕事を毎日してる人はそう多くはない。
そしてそんな人が過労死するんだな。
世知辛いね〜。世の中は。