突然。何年もずっと思いだした事もない遠い昔の記憶が何かをきっかけに
突然甦る。


〜6才の時〜

上の階にいる一個下の男の子みつぐ君とぼくは毎日遊んでいた。
ヒロ吉『今日こそやるべ』
みつぐ『うん。やるべ』
【当時、僕らの住んでいた団地には同世代の子供が溢れていた。
その中に僕らの天敵『しゅう』がいた。
こいつは僕と同じ年で、かなりのデブちんだった。
そしてキレ長の眼でするどい視線を放つのだ。
僕とみつぐはとにかくそいつが苦手だった。
最初に出会った頃は
『や〜い!デブしゅう!』など言っては
逃げてからかっていたのだが、いつからかしゅうは
愛用の自転車のカゴに拾ってきた鎖を積み、怒ると
ブンブン振り回して追い掛けてくるのようになった。
殴られたわけではないがかなり恐かった。
子供がたくさんいたがそれぞれにテリトリーがあった。
それぞれの小グループ毎に遊ぶ公園も違ったのだ。
そんなわけで僕とみつぐはデブしゅうが徘徊するいつもの
公園には近寄れず、無論他グループのいる公園にも行けず
二人でしゅうがいないスキを見ては公園に行き
『ここは俺の縄張りだぞ!』
と鎖を振り回しやってくるしゅうを見ては逃げてを繰り返していた。
そんなある日
母と買い物をした帰り何げに団地の駐輪場を見ると、
しゅうは何やらごそごそやっていた。何かを隠してるようだ。
僕は興味深々で家に帰ってすぐその駐輪場を見に行くと。
なんと!やつの鎖が隠されているではないか!
しかしその時、誰かが階段をおりる音がしたためいそいで逃げた。
その事をみつぐ君に話した結果、
『やつの鎖さえなければ』って結論を下しやつの鎖を奪う作戦に
出る事になったのであった。】



子供達が家に帰り出した夕方。
むろん公園にしゅうはいない。
ヒロ吉『みつぐとってこい。俺見張ってるから。』
みつぐ『えぇ〜僕が?無理だよ』
ヒロ吉『じゃあ見張りはいいから二人で盗るべ』
みつぐ『うん』
ヒロ吉『いくぞ!』
僕はかなり緊張していた。
盗みの経験はない。相手はあのデブしゅう。
心臓の音がいやにデカく聞こえる。
ごそごそ・・・
ヒロ吉『あったぞ!』
みつぐ『はやく盗って行こうよ!』
鎖は少し掘った穴の中に置かれその上には小石がたくさん
乗せられていた。
僕らはその小石を掻き出し鎖を手にした
その時!!
『おい!!』
なんとそこにしゅうが立っていた!!
僕らは泣いた。
あまりの驚きと恐怖にわんわん泣いた。
もうとにかく泣き叫んだ。



数日後。窓から公園を見たらやはりデブしゅうが
我がもの顔で遊んでいた。
そんな時、3つ上の友達が僕を呼びに来た。
公園で遊ぶべと言われたがしゅうがいるから嫌だと答えると
『俺いるから大丈夫だ。』と僕を連れ出した。
たしかにその友達といるとデブしゅうはおとなしい。
が、鋭い視線を終始僕に送りつける・・・
そんな時、その3つ上の友達の友人が『弟』を連れてやってきた。
その弟は僕と同じ年だと言うが一度も見たことはない。
転校生かなぁ?
と思いながらも3つ上の友達は友人と何か話しをして、
僕はその弟と息統合し滑り台の周囲で追いかけっこをした。
その時、デブしゅうが家に帰るのか、こちらのほうに歩いてきた。
鎖をブラブラさせ鋭い視線を僕に投げつけ、そして
追いかけっこをしていた『弟』にも鋭い視線を投げつける
その視線を察した『弟』は・・・・
なんと!!
いきなりデブしゅうに飛びケリを食らわせた!!!!!

デブしゅうはあっけなくもんどりうって倒れた。
デブしゅうは泣きながら逃げていった・・・・
なんて強いんだこの子は!!!
僕はその子に神々しさすら感じた。


その『弟』は、それ以来他の友達と他の公園で遊ぶようになったが
デブしゅうはそれ以来影を潜めた。
僕らは公園で遊べるようになったのだ。
で、その『弟』ってのが現在も親友である『ゆーい』だったのです。


って事を思い出したのでした。
おしまい(^_^)