ハンチング

僕は探し物をしている
とても大事な帽子。
ちょっとした不注意でなくしてしまった。
タクシーに乗った時に忘れた可能性が高いので
市内のタクシー会社はほぼ問い合わせた
タクシーに乗る時は会社等覚えてる事が多いが
その時は迂濶にも記憶してない。
いろいろ調べるとタクシーでの落し物は
タクシー会社一時保存→管轄警察署へ
てな流れらしい。
警察に問い合わせると平日5時までに行かないと
完全には調べられないらしい。
そんなわけで電話で問い合わせたり赴いたり。
あたりまえかもしれないが人によって対応はまるで違う。
『帽子ですか?』
と一瞬なぜか怪訝そうな反応を示すが
其の大事さを伝えると真剣に対応してくれたりする。
『すいません。無いみたいです』
と言ってくれた担当の人。
なかったのは残念だけど何故かすごく感謝した。

思えば
こんな経験はないな。
たとえ高価なものでも
無くしたら案外あっさり諦めてきた気がする。

ふと思った。
僕は本当は帽子じゃない他の何かを探してるのかな?
それとも
簡単に諦めないことを感じたいのかな?

僕は探し物をしている。

とても大切なもの。
今は【NOT FOUND】
でもきっとみつかる。必ず
いや、もう見つかってるかもしれない。
大切なものは…


どこまでいけば忘れられるのだろう
過去の自分に向けたこの後悔と憎悪
君に触れていたい優しい胸のうえで
あの覚束ない子守唄を
もう一度 もう一度
【NOT FOUND/Mr.children