未知との遭遇


アーケードゲームが流行り始めた頃
小1〜2。
近所のサンバードに行き、なけなしの金でゲームをした。
今のような質の良いゲームではないが、
ファミコンも無い時代だったからゲーセンのゲームは
100円出してもやる価値はあった。
ゲームセンター嵐も流行っていた。
今のように何台もあるわけじゃないから
並んでるし、みんながプレイしてる人に注目する
その中に入ると1〜2年はやはりチビで下手だから
ゲームはすぐ終わる。みんなが見てるし緊張もする。
ある日。
100円を握りしめ初めての順番を待っていた。
味わった事のない緊張感。
前の人の番が終わりいよいよ俺の順番
なんせ初めて。
普通は座ってから100円を投入するんだが
良く解ってなかったせいか座る前に100円を投入した。
と、その瞬間
奴は椅子に座りゲームを始めやがった。
奴の名は
『ア○ール』
あだ名ではない。本名だ。3歳ぐらい上の異国人なのだ。。
当時には珍しい中東のほうの国の人だろう。
僕は初めて身近で見る外人に恐怖した。
ア○ールは一瞬、浅黒い顔に目立つ目で僕を睨みニヤけた。
そして
『オレガヤル』
と日本語で言った。
僕はただ呆然と見ていた。月200円のこづかいの半分を投資したのに。
僕は帰り道、泣きながら帰った。怖さと悔しさとで。
それからもア○ールは良く見掛けた。
僕は正直怖かった。なんか怖かった。
ある日。
友人、よっちと、よっちの兄(4歳上。ワル)
とサンバードに行った。
ちょうどア○ールが目の前を通りすぎた
その時よっちの兄がいきなり叫んだ
『てめぇ!ア○ール!この辺ちょろちょろすんなって言ったべ!!』
と言いア○ールを蹴った。(この時ア○ールと云う名を知った)
ア○ールはなんとも言えない情けない顔で逃げていった。
それ以来ア○ールは見掛けなくなった。
数年してア○ールを見た。時が流れ時代も変化したせいか
顔の色も幾分薄くなりひょろっとしたひ弱な男だった。
ただやけに目はギラギラしていた。
でも怖くはなかった。あの時とは全てが違っていた。