呼び出し

夕刻。
聞きたい事があり師匠にメール。
いつものように、質問には片言の日本語のような感じで返信が来る。
ところが今回は少し違った。
次のような文が加わっていた。
【おのれは、今、何しとんじゃい?ライブがあるんじゃがのぅ】
目をパチクリさせ僕は慌てて返信した。
『あのぅ。どなたのライブでしょ?』
【あぁ?わしのダチ公じゃ】
友達をダチ公と呼ぶ人は、よっちに次いで二人目だ。
『あ、それで場所は?』
【おう。来るんかい?会費がステッカー代込みで壱万五千円だからな。
場所は――】
『あの・・ステッカーとは?』
【おおぅ、忘れとった。ワンドリンクも付くからな】
『はぁ・・』

僕は指定の待ち合わせ場所に急いだ。
角を曲がると師匠は立派な自転車に跨っていた。
【これだと家から15分や!】
と、僕の肩を3回叩いた。
と、すかさず僕に手を出す【ほれ、会費出さんかい】
と手をヒラヒラさせる。
僕が壱万五千円を渡すと彼は其れを胸ポケットにしまい
迷彩柄の7分丈のズボンのポケットからくしゃくしゃのシールをくれた。
ビックリマンシールだった。
師匠は何故か甘えた顔で僕を見た。

師匠に先導され、師匠の自転車を押しながら着いて行く僕。
おしゃれなBarに着いた。
そここには、僕の欲しいギターを弾き僕の奏でたい音を出す演者がいた。
その後ろで師匠の友人がドラムを叩いていた。

師匠と3時間ばかり酒を飲んだ。
師匠は時々遠くを見ていた。
帰り際、
【急に呼び出してすまんかったの】
と言った。

それから僕は独り地下鉄に乗り
師匠は5時まで飲んだらしい。
ですこさん。
飲みすぎには注意しましょう。