田舎韮男日記旅情


私ヒロ吉が自営業を営むにあたり熟考の末選出した
『韮畑栽培』。
【坊】氏より北海道に優れた韮畑がある旨を聞き
時期尚早ではありつつ、とある地方へ足を伸ばす。
最初に僕を向えた看板が僕の心を擽った。

『いったい何が噴出すんだ?』
何かはわからぬが足を運ぶには十分な動機であった。
と思ったものの、何故かいやらしい事が頭を過ぎり
右折するのを断念す。


さらにのどかな町並の中車を走らせるとある温泉が
目に付く。

『なんとも味のありそうな温泉だ。
効能もきっと相当なものだろう。入るか・・・』
と思い立つも名前が気に入らずやはり通過する。


しばし外の景色を眺めつつ車を走らせるも韮畑は
見つからず羊蹄山なる山ばかりが目に入る。
と、そこである店に目が止まる。

【名水うどん】と書いてあるこの店。
『腹も減ったし食べてみるか』
とは何故か思わず通過する。一人で入ってはいけない
何かを感じたからだ。


ここからは行けども行けども韮畑は見つからず。
また次の場所を探そうと心に決めたのはもう1時間
以上前であった。
さらに僕はフラリ旅を続ける。
『どのくらい走ったろう?』
景色はかなり田舎チック。
『ここに韮畑があるかも!!』なんて思うわけはない。
あっ!と一枚の看板に目が釘付けになる

『ジンギス汁』


ジンギスカン・・・成吉思汗・・・汗
どうやらこの店ではジンギスカンの汁を飲ませて
くれるらしい。
しかしまったく興味が沸かない。韮畑探しより。
『どんな汁だろ・・』と頭の片隅で考えつつ更に
田舎道を走らせる。左カーブを限界ギリギリの
ドリフトで曲がると急に新たな看板に目を奪われる。
先程までデッドヒートを繰り広げていた、地元の
街道レーサーが僕の車をすり抜ける。
何故か肥料のついた土を大量に落としつつ。
僕は看板の文字を読む・・恐る恐る・・・



僕の頭に焼きついたトラウマが僕を一瞬に氷つかせた。
『ここはやばい・・・』
マルチーズ並みの野生的本能で僕は危険を察知した。
逃げる道中、何故か口の中にいっぱいの辛味が広がった。