靴の底鳴らして


このBLOGを通して過去の自分に触れる。
始めて1年程を読んでみると我ながらナカナカ面白い事を
書いている。思えば当時は仕事が終わってやる事もなくPCに向かい
ただひたすらBlogを書いていた。日に2〜3時間は要していた。
そりゃもう真剣に書いていたんだ。
今はと云えば時間潰し程度になっているのが現状であったが、
業務内容が変わった今、私には相応の時間があるのだ。
休憩中、シーンとした事務所で思いを廻らせ書く。ので最近の
更新が多くなるのは必然なのです。
ちなみに、ネットは社内規制が多すぎて使えません。


今日はそんな時間を利用して時間遡行の旅に出てみる。


中学3年の秋。
僕らは黒いMA-1を着込み、袖口に仕込んだビニル袋からトルエン
吸い込む。I団地付近が一時お決まりのその場所であった。
林と呼ぶには小さすぎる程の小さな山があり、その茂みに埋もれながら
僕らは異次元に入っていくのだ。
夕方すぎ。あたりもかなり暗くなってきた頃だ。
突然、懐中電灯の灯りと共に
『おいっっっ!!!!』
と怒鳴り声が聞こえる。
急に現実に戻り見つめる先には制服をまとった警察官が鬼の形相で
立っていた。
【やばっ!!】
僕らは坂を滑り降り、八方に散らばった。
警察官は一人に狙いを定め追いかけようとする。
それを横目で確認しつつ、猛ダッシュで逃げ出した。
逃げ足の速度に買ったばかりの靴はついてこれず、走りながら
片方がアスファルト上に転がった。
そんな事お構いなしに僕は300m程先にある住宅街に逃げ込んだ。
息を切らしながら煙草をやる。
神経を集中させ耳を澄ませる。
すると走る足音が聞こえてきた。僕はとっさに電柱に身を潜め
様子を伺うとそれはゆうじだった。
舌打ちをしゆうじに合図を送る。こちらに気付いたようで僕の方に
やってきた。
『よっちは!?』
『わかんねぇ・・・。あいつ追われたからなぁ』
『やばいな・・・・』
と、ここで僕は靴を脱ぎ捨てた事に気付く。
『俺、靴一個走りながら脱げたからそのままにしてきたべや』
『・・・・』
『ちょっと取りに行ってくるわ』
僕は恐る恐る逃げた道を戻り、靴を発見すべく可能な限りこっそり
探していた。
するとそこで大きな声が聞こえた。
『お〜い。M戸のなかまぁ〜戻ってこ〜い』
僕はびくっ!!とし耳を傾ける。
そると今度は
『M戸は捕まったから、もうお前らの事もバレてるぞ!』
と笑ってるようにも聞こえる声がした。
僕は茂みに潜ったが、前方に二人の影が見えた。
片方は明らかによっちの影であった。
観念するしかないな・・・・
そう思った僕のやや前方の泥の中に靴が落ちていた。
手を伸ばすと同時に僕も警察官に発見された。
泥水の入った靴を履き、ぐっぽんぐっぽんいう靴を鳴らし
僕らは派出所へと向かった。
ゆうじはそのまま逃亡していた。